MCI(軽度認知障害)とは?認知症との違いを脳神経外科専門医が解説
「最近、もの忘れが増えてきた」
「同じことを何度も聞くようになったと言われる」
「認知症ではないか心配」
このようなお悩みで受診される方は少なくありません。
もの忘れがあるからといって、すぐに認知症というわけではありません。
正常な加齢による変化と認知症の間の段階として、
「MCI(軽度認知障害)」
と呼ばれる状態があります。
MCIは、早い段階で気づき、原因を調べ、生活習慣などを見直すことが大切です。
今回は、MCI(軽度認知障害)の症状、認知症との違い、検査方法、予防についてわかりやすく解説します。
MCI(軽度認知障害)とは?
MCIとは、Mild Cognitive Impairment(軽度認知障害)の略です。
記憶力や注意力などの認知機能が年齢相応より低下しているものの、日常生活はおおむね自立しており、認知症とまではいえない状態を指します。
ただし、MCIと診断された方が全員認知症になるわけではありません。MCIの状態にとどまる方や、認知機能が改善する方もいます。
国立長寿医療研究センターでも、MCIは認知症そのものではなく、適切な対応によって正常な状態へ戻る可能性があると説明されています。
そのため、「まだ認知症ではないから大丈夫」と放置するのではなく、早めに状態を把握することが重要です。
MCIでは、次のような変化がみられることがあります。
✔︎最近の出来事を忘れることが増えた
✔︎同じ質問や話を繰り返すことがある
✔︎人や物の名前が以前より出てこなくなった
✔︎約束や予定を忘れることが増えた
✔︎財布や鍵、スマートフォンなどを探すことが増えた
✔︎料理や仕事など、複数のことを同時に行うのが苦手になった
✔︎新しい機械やスマートフォンの操作を覚えにくくなった
✔︎以前より段取りに時間がかかるようになった
MCIでは、こうした変化があっても、買い物や食事、着替えなどの基本的な日常生活は自分で行えることが多いのが特徴です。
「年齢によるもの忘れ」と「認知症」の違いは?
年齢を重ねれば、誰でも多少はもの忘れが増えます。
MCIと認知症の大きな違いは、日常生活への影響です。
MCIでは認知機能の低下があっても日常生活はおおむね自立していますが、認知症では認知機能の低下によって、仕事や買い物、服薬管理、金銭管理などの日常生活に支障が生じます。
例えば、
「昨日の夕食で何を食べたか思い出せない」
ということは、健康な方にもあります。
一方で、
「夕食を食べたこと自体を覚えていない」
となると、認知症による記憶障害を疑うきっかけになります。
加齢によるもの忘れでは、出来事の一部を忘れても、ヒントがあれば思い出せることが多いのに対し、認知症では出来事そのものを忘れ、ヒントがあっても思い出せない場合があります。
ただし、実際には「年齢のせいなのか」「MCIなのか」「認知症の初期なのか」をご本人やご家族だけで判断するのは難しいことがあります。
MCIが疑われる場合、どんな検査が必要か?
MCIや認知症が疑われる場合には、まず詳しい問診を行います。
ご本人のお話だけでなく、ご家族からみた変化も重要です。
そのうえで、必要に応じて以下のような検査を行います。
1.認知機能検査
記憶力、注意力、言語能力、視空間認知、遂行機能などを調べます。
代表的な検査には、
- MoCA-J(Montreal Cognitive Assessment 日本語版)
- HDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)
- MMSE(Mini-Mental State Examination)
などがあります。
特にMCIのような比較的軽い認知機能低下では、MMSEだけでは捉えにくい場合があり、MoCA-Jなどを用いた評価が有用とされています。
2.血液検査
もの忘れや認知機能低下は、必ずしもアルツハイマー病などの認知症だけで起こるわけではありません。甲状腺機能の異常、ビタミン不足、貧血など、治療可能な病気が原因になっていることもあります。
そのため、必要に応じて血液検査を行います。
3.MRIなどの画像検査
脳MRIでは、脳梗塞や脳出血、脳腫瘍、正常圧水頭症など、認知機能低下の原因となり得る脳の病気がないかを確認します。
また、脳の萎縮の程度や部位なども診断の参考になります。
ただし、MRIだけでMCIや認知症を診断するわけではありません。問診、認知機能検査、神経学的診察などを組み合わせて総合的に判断します。
MCIは治療できるのか?
MCIと診断されたからといって、必ず認知症へ進行するわけではありません。
大切なのは、認知機能低下の原因やリスクをできるだけ早く確認し、改善できるものに対処することです。
特に重要なのが、
✔︎適度な運動
✔︎バランスの良い食事
✔︎生活習慣病の管理
✔︎十分な睡眠
✔︎人との交流
✔︎趣味や社会活動
✔︎聴力低下への対応
などです。
国立長寿医療研究センターでも、運動・栄養・認知トレーニング・血管リスク管理など、複数の要素に同時に取り組む「多因子介入」が研究されています。
特別なことを一つ行えば認知症を完全に防げる、というわけではありません。
運動・食事・生活習慣病の管理・社会参加などを組み合わせて、長く続けていくことが重要です。
こんな変化があれば、一度ご相談ください
次のような変化が気になる場合には、一度医療機関への相談をおすすめします。
✔︎同じ話を何度もするようになった
✔︎最近の出来事を忘れることが増えた
✔︎約束を忘れることが増えた
✔︎薬の管理を間違えるようになった
✔︎お金の計算や支払いに時間がかかるようになった
✔︎今までできていた料理や仕事の段取りが難しくなった
✔︎家族から「最近もの忘れが増えた」と言われた
✔︎ご本人またはご家族が認知症を心配している
「この程度で病院へ行っていいのかな」と迷う段階で相談していただいて構いません。
むしろ、MCIの段階を考えるのであれば、日常生活に大きな支障が出る前の受診が大切です。
稲沢市で「もの忘れ」「MCI」が気になる方へ
ミライエ脳神経クリニックでは、もの忘れや認知機能低下、MCI(軽度認知障害)、認知症についてのご相談にも対応しています。
問診や認知機能検査に加え、必要に応じて血液検査やMRIなどを行い、単なる加齢によるもの忘れなのか、MCIなのか、認知症やその他の病気が隠れていないかを総合的に評価します。
認知症については、早く診断することだけが目的ではありません。
「今の状態を知り、これからできることを考える」ことが大切です。
稲沢市やその周辺で、
「最近もの忘れが増えた」
「MCIかどうか調べたい」
「家族の認知症が心配」
という方は、お気軽にご相談ください。
MCIや認知症が心配な方の診察、認知機能検査、MRI検査についてご案内しています。