知らないうちに起きる圧迫骨折、そして骨折の連鎖『ドミノ骨折』とは
「転んだ覚えもないのに、いつのまにか背骨が骨折していた」
せぼねの診療していると、全く珍しいことではありません。
せぼねの骨折である脊椎圧迫骨折(せきついあっぱくこっせつ)は、ほとんどが骨粗しょう症が原因であるといわれています。そのため、重い物を持ったとき、尻もちをついたときなど、ちょっとしたきっかけで起こることがあります。
さらに骨粗しょう症が進行している場合には、
「いつ骨折したのか本人にもわからない」
ことさえありますし、
「くしゃみで折れる」
ことさえあると言われます。
冷静に考えれば、衝撃的な話です。
「最近、背中が丸くなった」は骨折かもしれません
圧迫骨折というと、強い腰痛や背中の痛みが出ることもありますが、症状が比較的軽い場合もあります。
そのため、
✔︎最近、身長が低くなった
✔︎背中が以前より丸くなった
✔︎背中がなんとなく痛い
✔︎特に転倒していないのに腰痛が続いている
こうした変化を「年齢のせい」と思って放置しているうちに、圧迫骨折が見つかることがあります。
特に60歳を過ぎた女性では、骨粗しょう症を常に頭の片隅に置いておいたほうがよいです。
閉経後は女性ホルモンの低下により、骨がもろくなりやすいためです。
一度骨折すると、次の骨折が起こりやすくなる
骨粗しょう症で特に注意したいのが、「骨折は一度で終わらない」という点です。
一つ骨折したあと適切な治療をしなければ、別の背骨が骨折し、さらに次々に新しい骨折につながることがあります。
こうして骨折がドミノ倒しのように次々に連鎖していく状態は、「ドミノ骨折」と呼ばれています。
圧迫骨折を繰り返すと、
✔︎背中が丸くなる
✔︎身長が低くなる
✔︎腰痛や背部痛が続く
✔︎歩きにくくなる
✔︎外出が減る
✔︎筋力が落ちる
✔︎転倒しやすくなる
といった悪循環に入りやすくなります。さらに怖いのは、その先です。
骨粗しょう症による骨折は、単に「骨が折れて痛い」というだけの病気ではありません。
骨折をきっかけに活動量が低下し、筋力が落ち、寝たきりや要介護につながるだけでなく、生命予後にも影響することが知られています。
骨粗しょう症は、生活に悪影響を与えるだけでなく、寿命まで縮めてしまう病気なのです。
自分の骨がどれくらい強いのかを知りましょう
骨粗しょう症は、血圧のように自宅で簡単に測ることができません。
そこで重要になるのが骨密度検査です。
骨密度を測定することで、
「自分の骨が若い人の骨と比べて、どれくらいの強さなのか」
を数値として確認することができます。
このとき使われる代表的な指標がYAM(若年成人平均値)です。
若い成人の平均的な骨密度を100%として、自分の骨密度がどのくらい残っているかを評価します。
骨密度を調べる方法はいくつかありますが、骨粗しょう症の診断で標準的に用いられているのが、
「DXA(デキサ)法」
です。
DXAは2種類のX線を利用して骨密度を測定する方法で、腰椎や大腿骨近位部などの骨密度を精度よく評価できます。
「せっかく骨密度を測るのであれば、できるだけ正確に調べたい」
という方には、DXAによる検査をおすすめします。
骨も筋肉と同じ、「骨トレ」を意識しましょう
筋肉は使わなければ少しずつ弱くなります。
実は、骨にも似た性質があります。
骨も使わなければ弱くなり、適切な刺激や負荷が加わることで、その強さを維持しようとします。
そのため、歩くこと、筋力トレーニングを行うことなどは、骨の健康を保つために重要です。
私はこれを患者さんには、わかりやすく
「骨トレ」
と考えていただくとよいと思っています。
特別な運動をしなければならないわけではありません。
ウォーキングやスクワットなど、自分の体力に合った運動を続けることが大切です。
逆に、体を動かさない生活が続けば筋肉だけでなく骨も弱くなります。
もちろん、すでに骨粗しょう症が進んでいる方や圧迫骨折がある方では、無理な運動は禁物です。
骨の状態を確認したうえで、その方に適した運動を行うことが重要です。
60歳を過ぎた女性は、一度は骨密度を意識してください
骨粗しょう症は、「骨折するまで気づかない」ことの多い病気です。
特に、
✔︎60歳以上の女性
✔︎身長が以前より低くなった方
✔︎腰や背中が曲がってきた方
✔︎運動習慣が少ない方
✔︎過去に骨折したことがある方
は、一度骨密度を確認しておくことをおすすめします。
骨粗しょう症は、早く気づくことができれば適切なお薬などの治療で対策できる病気です。
まず自分の骨密度を知り、必要であれば食事や運動を見直す。
そして骨折リスクが高ければ、適切な治療を開始する。
この積み重ねが、将来の圧迫骨折や大腿骨骨折を防ぐことにつながります。
骨形成促進薬(骨を作る)として、テリボン、イベニティ、オスタバロなどの注射薬が知られており、骨吸収抑制薬(骨がもろくなるのを防ぐお薬)として、プラリア、ボナロンなどの薬剤がよく知られています。骨密度の低下の程度や、これまでの骨折歴、今後の骨折リスクなどを総合的に評価し、これらの薬剤を適切に使い分けることが重要です。
骨折はおそろしいほどに連鎖します。
だからこそ、最初の一つを起こさないこと。
そして、もし一度骨折してしまったのであれば、次の骨折を起こさないことが大切です。
愛知県稲沢市・国府宮周辺で骨密度検査・骨粗しょう症が気になる方へ
ミライエ脳神経クリニックでは、骨粗しょう症の疑いのある方に対し、DXA(デキサ)による骨密度検査を行っています。また、そうでない方も「骨密度検診」を受けていただくことができます。
必要に応じてMRIなどを組み合わせ、圧迫骨折や脊椎疾患の有無についても評価します。
「一度、自分の骨の強さを知っておきたい」
という方はご相談ください。
骨折してからではなく、骨折する前から骨を守る。
これからも自分の足で歩き続けるために、今から「骨トレ」と骨のチェックを始めてみましょう。