PPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)とは?ふわふわするめまいが続く原因・治療を脳神経外科医が解説
「めまいが何週間、何カ月も続いている」
「グルグル回る感じではなく、ふわふわする」
「歩いていると地面が揺れているように感じる」
「スーパーやショッピングモールに行くとめまいが悪化する」
このような症状が続いている場合、PPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)という病気が隠れていることがあります。
PPPDは新しい概念のめまい疾患ですが、決して珍しくありません。慢性的なめまいの原因として重要な疾患の一つです。
今回は、PPPDの症状、原因、診断、治療についてわかりやすく解説します。
PPPDとは何か
PPPDは、Persistent Postural-Perceptual Dizzinessの略で、日本語では
「持続性知覚性姿勢誘発めまい」
と呼ばれます。
特徴は、3カ月以上にわたり、ふわふわする感じ、不安定感、非回転性のめまいが続くことです。
一般的な「めまい」というと、天井がグルグル回るような症状を想像する方が多いと思います。
しかしPPPDでは、
- ふわふわする
- フラフラする
- 地面が揺れている感じがする
- 歩いていると不安定に感じる
といった症状が中心になります。
PPPDの特徴的な症状
PPPDでは、特に次の3つの状況でめまいが悪化しやすいことが知られています。
1.立っている・歩いていると悪化する
2.体を動かすと悪化する
3.人混みや複雑な景色で悪化する
PPPDで非常に特徴的なのが、視覚刺激によってめまいが悪化することです。
たとえば、ショッピングモールを歩く、人混みの中を歩く、車が多い道路を見る、スマートフォンをスクロールする、といった状況で症状が強くなることがあります。
「スーパーに行くと急にフラフラする」という方では、PPPDを疑う一つの手がかりになります。
また、PPPDは、不安やストレスとの関連がみられることがあります。
そのため、
「精神的なものですね」
「検査で異常がないから問題ありません」
と言われてしまうことがあります。しかし、PPPDは単なる「気のせい」ではありません。
現在では、視覚・前庭感覚・体性感覚など、身体のバランスを保つための情報処理がうまく調整できなくなることなどが関係する機能性前庭疾患と考えられています。
MRIなどの画像検査で異常が見つからなくても、症状そのものは実際に存在します。
PPPDの原因は?
PPPDは、突然何もないところから発症するというより、
何らかのめまいをきっかけとして、その後もフラフラ感が残ってしまう
ケースが多くみられます。
たとえば、
- 良性発作性頭位めまい症(BPPV)
- 前庭神経炎
- メニエール病
- 片頭痛・前庭性片頭痛
- その他の急性めまい
- 強いストレスや体調不良
などがきっかけになることがあります。
最初のめまい自体は改善しているのに、
「何となくふわふわする」
「歩くとまだ不安定」
という症状だけが何カ月も残っている場合には、PPPDを考える必要があります。
PPPDは、MRIを撮ればわかる病気ではありません。
症状の経過や、どのような場面で悪化するかを詳しく確認して診断します。
代表的には、
- めまい・ふらつきが3カ月以上続いている
- 立位や歩行で悪化する
- 体を動かすと悪化する
- 動くものや複雑な景色を見ると悪化する
- 日常生活に支障がある
などを確認します。
ただしめまいの原因には、耳の病気だけでなく、脳梗塞、脳腫瘍、脳血管障害などの脳の病気が隠れていることがあります。
そのため、症状によってはMRIなどで脳に異常がないかを確認することも重要です。
めまいは耳鼻科?脳神経外科?何科を受診する?
めまいは原因によって受診すべき診療科が異なります。
耳鳴りや難聴を伴うめまいでは、耳鼻咽喉科の病気が原因となっている場合があります。
一方で、
突然発症した強いめまい、歩けないほどのふらつき、手足のしびれ・麻痺、ろれつが回らない、ものが二重に見える、強い頭痛を伴う
といった場合には、脳梗塞などの脳疾患を除外する必要があります。
また、
「何カ月もめまいが治らない」
「耳鼻科では大きな異常がないと言われた」
「MRIを一度も受けたことがない」
という方も、一度脳神経外科で原因を整理してみることをおすすめします。
PPPDの治療
PPPDの治療では、一つの治療だけではなく、複数の方法を組み合わせて治療することが重要です。
前庭リハビリテーション
視覚や体の動きに少しずつ慣れていくことで、過敏になったバランス感覚を再調整していく治療です。
症状が怖いからといって全く動かなくなると、かえってめまいが長引く場合があります。
薬物療法
PPPDでは、症状に応じてSSRIやSNRIと呼ばれる薬剤が使用されることがあります。
これらは抗うつ薬としても使用される薬ですが、PPPDでは不安やうつがある人だけに使用するという意味ではありません。
めまいに対する脳の情報処理を改善する目的で使用されることがあります。
認知行動療法
「動いたらめまいが出るのではないか」
「また倒れるのではないか」
といった不安によって行動範囲が狭くなると、症状がさらに固定化することがあります。
こうした悪循環を改善するため、認知行動療法が有効な場合があります。
近年の研究でも、前庭リハビリテーション、SSRI、認知行動療法などを組み合わせた治療の有効性が報告されています。
急性期のめまいでは、症状を抑える薬が有効なことがありますが、PPPDのような慢性めまいでは、
めまい止めを飲み続けるだけでは十分に改善しないことがあります。
重要なのは、「なぜめまいが続いているのか」を整理したうえで、原因に応じた治療を行うことです。
稲沢市で長引くめまいでお悩みの方へ
めまいには、
良性発作性頭位めまい症、メニエール病、前庭神経炎、前庭性片頭痛、PPPD、脳梗塞など、さまざまな原因があります。
特に、
「ふわふわするめまいが何カ月も続いている」
「人混みやスーパーに行くとめまいが悪化する」
「検査では異常なしと言われたのに、めまいが治らない」
という方では、PPPDが隠れている可能性があります。
稲沢市のミライエ脳神経クリニックでは、めまいの症状について詳しく診察し、脳疾患が疑われる場合には院内MRIによる検査が可能です。
検査枠に空きがあれば、診察・MRI検査・結果説明まで当日に行うことも可能です。
「めまいだから耳鼻科かな?」
「脳の病気だったらどうしよう」
と迷われている方も、まずはご相談ください。
めまいの原因を一緒に整理し、それぞれの病態に応じた治療につなげていきます。